先日、大阪梅田芸術劇場で観劇した望海風斗さん主演「DREAMGIRLS」出演者の感想です。
バタバタしてたので今頃の投稿になりますが、読んでいただければ嬉しいです。
もう感想を一言で表すなら「圧巻のステージ!!!」
出演者全員歌が上手い!!
いや、歌うまいって当たり前やんと思われるかもしれませんが、長く舞台を観ている人ほど、この「登場人物全員当たり前に歌が上手い」という事の奇跡、凄さがどれほどの事かお判りいただけると思います。
あまり言いたくないけど、舞台ってやはり「なんでこの役受かったんだろう?」と思ってしまうような人が紛れてる事あるんですよね、客寄せとかお気に入りとかそういうあの、なんか色々な事情で。そりゃチケット売らなきゃいけないのも分かる、分かるけど演技や歌が気になってしまって現実世界に引き戻されるやつ。
それがこの今回の「DREAMGIRLS」は、そのようなストレスが皆無。世界観にどっぷり入り込めます。心だけでなく体にもビシビシと振動が刻まれるようなパワフルでソウルフルなステージでした。
観る前は正直出演者は望海風斗さんと岡田浩暉さん以外存じ上げなかったんですが、この公演でたくさんの素晴らしい役者さんを新たに知れて良かったです。
以下なるべくネタバレしないように書いていますが、どうしても話の流れ上触れている所もあるので絶対にストーリーの内容を知りたくない方はご注意下さい。
キャストの感想
望海風斗(ディーナ・ジョーンズ)
主役であり座長。今回の望海さんも凄かった!1幕の下積み時代のディーナのシャイな感じや、静かにキャーキャー喜んでいる姿が下級生モードの望海さんのようでとても可愛かったです。
歌が上手いのは言わずもがな、特に2幕開けてすぐ、スターに上り詰めたドリームガールズ達がゴンドラの上で歌う場面があるのですが、あの時の望海さんのオーラが凄い!
ゴンドラの上から堂々と歌う姿とオーラはさすが宝塚の元トップスター。ゴンドラめっちゃ慣れてる。仕草は女性なんですが、客席へのギラリとした目線がなんか懐かしい。そのうち「俺の庭!!」とか言いそうでした。
あのゴンドラの場面は、望海さん20年分の芸の重みと培ってきたスターオーラを感じる事ができて今回一番印象に残りました。ディーナがドリームガールズの真ん中のメンバーなんだという説得力が誰よりもありました。
あと、カーティスとの最後の場面で、扉を開くとまばゆい光に包まれている時の後ろ姿が凛としていてとても美しかったです。前回のLook At Meコンサートの時よりも更に体を絞ったような印象がありました。特にドリームガールズ3人が後ろを向いた時の望海さんの背中の筋肉が美しすぎて、背筋ってあんなに美しくつくのだな、1ミリでも見習わなければなと猛省しました。
Look at Meの感想はこちら
衣装も可愛かったりゴージャスだったり着せ替え人形のようにたくさんの衣装を着こなしていて目が幸せでした。退団後も宝塚専属衣装の有村淳先生の衣装をたっぷり着ている望海さんの姿を観れたのも嬉しかったです。個人的にエフィと再会する時に着ていたチェック柄のパンタロンスーツがお洒落で可愛くて一番好きです。
芯が強く、控えめだったりパワフルな望海さんのヒロイン姿を観る事ができて嬉しかったです。
ただし、望海さんを目当てで観に来た人には物足りなく感じる人がいるかもしれません。実際そのような感想も散見されました。主演ではあるけどソロの曲はありません。これは望海さんの歌を楽しみに来た人には残念な事かもしれません。
リードボーカルなので、もちろん望海さんの歌声を堪能できる曲もたくさんあるのですがソロではない事と、実質エフィが主人公みたいな所があるのでエフィに比べて見せ場が少ないと感じる事があるかもしれません。
私は望海さんのファンクラブに入っているので望海さんが出ているからという理由で初めは観に行きましたが、他のキャストの歌も演技も凄く良かったし、沢山の豪華な衣装や演出でそこまで物足りなさは感じませんでした。ただ、その辺りどう感じるかは人によるかなと思います。
村上絵梨(エフィ・ホワイト)
Wキャストのエフィ、私は村上さんバージョンを見ました。
今回初めて知った方なんですが、まあもう凄い!!特に歌が凄すぎる!!!エフィは歌が多いんですけど、どれも感情に訴えかけてくる歌唱力と表現力。
メンバーから外される時の「And I Am Telling You I’m Not Going」は客席中が釘付けになり、息を飲み胸を打たれたはず。私は自然に涙が出ました。あの場でスタンディングオベーションしたくなる気持ちをグッと堪えました。あとこの時、舞台の円盤装置に乗って歌いながら盤が回りきった所でエフィが見えなくなり、新制ドリームガールズが現れる演出も良かったです。
歌だけでなく演技も見事でした。特にまだエフィがリードボーカルだったフロリダ公演で、確かに歌は上手いけど笑顔が少なくソツなくこなしている姿が(これは確かにリードボーカルには選ばれないだろうな)という説得力を作っていました。対して望海ディーナはこの時ニッコニコで心から楽しそうに歌っています。映画版では明らかにビヨンセがそりゃ真ん中に選ばれるだろうという抜きん出た納得の容姿でしたが、今回の舞台版ではこの細やかな違いでそういう所を表現しているんだろうなと思いました。
そして黒人メイクが一番自然でした。カツラは本人が選んでいるのかWキャストと同じ物を使っているのか不明ですが、これもとても自然で一番黒人に見えました。
たぶんエフィは実質主役で、歌もソロが多く、観客も一番に応援したくなるキャラクター。本来、望海さんにも合っていそうな役なんですが、村上さんエフィが凄すぎたので(この役は望海さんで見たかった)と不満に思う事もなく、新しい役柄に挑戦する望海ディーナにも集中して観る事ができました。本当に素晴らしかったです。
sara(ローレル・ロビンソン)
めちゃくちゃ可愛い!小さくて可愛いお顔に長い手足とスタイル抜群。
やはり可愛いだけでなく歌が上手い。そしてその愛らしい見た目に反して意外と低音でハスキーな声のギャップも魅力的でした。
朗らかで、グループ内での揉め事を嫌い、場を和ませる原作同様のキャラクターの通り、あどけない表情や仕草はキュート、でも特にスターになった2幕でのキャラクターの変化の描き方がお見事でした。恐らく誰よりも1幕より成長した感があったように感じました。スターになり、ジェームスとの関係も深まり酸いも甘いも知ったのか、話し声も歌声も1幕より低く大人な感じになっていました。
ジェームズに甘えながらキスしていて可愛いなと思った途端に離婚を迫る一瞬の変化が凄かったしジェームズも怖かっただろうなと思いました。
saraさんもこの公演で初めて知ったのですが、調べてみると早稲田大学出身の文学座準座員という凄すぎる経歴の持ち主。しかもまだわずか23歳という若さ。次回はミュージカル「ファントム」のヒロイン、クリスティーヌ役(真彩希帆さんとのWキャスト)という事でますます活躍が期待される俳優さんです。知れて良かった。ファントムは真彩ちゃん回だけ観に行く予定だったけどsaraさん回も追加しようかなと思いました。
欲を言えばドリームガールズ3人の中で一番白くて白人に見える時もあったので、もう少し黒く塗ったらいいなと思いました。
なかねかな(ミシェル・モリス)
新メンバーとして登場するミシェル。この役どころって目立ちすぎても地味すぎてもいけないとても難しい役柄だと思うんです。でもなかねさんはとても良い塩梅でこのミシェルを演じていました。決して控えめな感じではないのに3人の中にいても違和感なく自然なんですよね。特に「ここに居たくない~」と歌う修羅場の場面がエフィにひるむ事なく自分の意志と存在感を示していて、その時の伸びやかな歌声が良かったです。C.Cとの関係も映画より描かれていて、この物語の後のミシェルも想像できるようになっていました。
なかねさんについて調べてみると、ニューヨークのアポロシアターの公演に出演したり、劇団四季の研究生だったりとこれまた凄すぎる経歴。
あと座席に置いていたフライヤーの中に、なかねさんのライブ告知も入ってたんですが
面白すぎました。残念ながら大阪公演は完売していたのですが、東京公演はまだ発売中だったので気になった方は↑のリンクからチケットが買えます。なんとか実家の車は無事で済みそうな予感。
spi(カーティス・テイラー・ジュニア)
カーティスのspiさんめちゃくちゃ良かったです!観劇後すぐに映画版ドリームガールズを見直したんですが、まんまカーティスでした。立ち姿が堂々としていて体の厚みやら顔の濃さやらこの役のハマり具合がバッチリ。そして歌も当たり前にうまいし台詞が一言一言聞き取りやすかったです。
1幕の、男らしいカリスマプロデューサーぶりからどんどん雲行きが怪しくなり、自分の理想を押し通そうとするあまり、手段を選ばなくなっていく姿が危険でもあり脆くもあり。ほんのり漂う反社の香り。これ、宝塚の舞台なら間違いなく望海さんが請け負う役だなと思いながら後半は見ていました。ディーナにすがる姿を見て(ヌードルス…)ってなりました。
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