現在、宝塚大劇場で公演中の雪組レビュー「ジュエル・ド・パリ!!」(作・演出 藤井大介)
いやもう最高のショーでした!!楽しかった!!
何より宝塚ファンはもちろんの事、宝塚観劇が初めての方にも特にオススメしたい公演でした。
曲良し、衣装良し、世界観良しの三拍子揃ったショー
とにかくこれに尽きます。
前回の花組ショー「ENCHANTEMENT(アンシャントマン)」(作・演出 野口幸作)もクラシカルな宝塚の世界を感じられ、久々良いショーを見た!という感想でしたが、あれから半年も経たず、更に古き良き宝塚のクラシカルなショーが爆誕しました。
ショーも衣装も音楽も、クラシカルなんだけれどそれに偏りすぎず、モダンな雰囲気も融合されて全く退屈しない。
観劇後は「宝塚を観た!」という気分になるし、主題歌の「Jewel de Paris!!」のサビ部分は中毒性の高い曲調で、帰り道に口ずさみたくなる事間違いなし!
実際、主題歌を口ずさむ観客何名かと終演後にすれ違いました。
公演時間は全体で55分ですが、無駄な場面が一切ないので宝塚の良さが濃厚に凝縮された55分でした。
宝塚ファンにも宝塚初心者にも嬉しい内容
このショーの良い所は往年のファンも、初めて宝塚を観る方にも楽しめる構成になっている事です。
まずショーの舞台がフランス。
55分のショーにフランス関連の物事や人物がぎっしりと詰まっています。
宝塚歌劇においてのフランスという国の登場率は異常なので、衣装や世界観においてもシンプルに宝塚を感じる事ができます。
宝塚歌劇でおなじみの「ベルサイユのばら」を思わせる場面もあるので尚更テンションが上がる仕様。
そしてショーで使われる曲に、「すみれの花咲く頃」「フランス国歌」など、宝塚を観た事が無い人でもきっと一度は聴いた事があるであろう曲が入っているので自然と手拍子を入れる事ができると思います。
手拍子を入れる所が多くて楽しい
そう、このショーは通常のショーに比べて手拍子を入れる場面が多かったです。
この手拍子がもうめちゃくちゃテンション上がって楽しい。
劇場の一体感も凄い。
この公演は109期生の初舞台お披露目公演でもあります。
毎年春の初舞台公演は、今まで宝塚を観た事がなかった人が初めて劇場で観劇するキッカケになる事が多いように思います。(私もそうでした)
恐らくこのショーは、まだ宝塚を観た事がない人の事も少し意識して作られているのかな、と感じる部分が随所に散りばめられていました。
主題歌が覚えやすい
先ほどもチラっと触れましたが、とにかく主題歌が耳馴染み良く覚えやすい。
サビの歌詞が
ジュテーム(×4)愛しています
あなたの美しいその姿を Ah
ジュテーム(×4)夢見ています
あなたの素晴らしいその未来を
と字面だけで見たら狂気を感じる、宝塚の世界観でしか許されない、という感じなのですが、この部分がもうとにかく耳に残ります。
繰り返される「ジュエル・ド・ルパリ~♪」の部分も同じくです。
恐らく既にこのショーを観た方は、この歌詞を読むだけで曲と華やかなショーが自然と脳内再生されてくるはず。
ショーの主題歌が頭に残るって結構大事な事で、すごく充実した帰り道と思い出になると思うんですよね。
逆に1曲も思い出せない、門を出た瞬間に全て忘れるという事もあるので、このショーの主題歌は最高でした。
作詞は藤井大介、作曲は青木朝子さんです。
プロローグから完璧
ショーの幕が上がると、銀橋にあーさ(朝美絢)以下男役の精鋭7名の爆イケ画家達が並んでいます。
後でプログラムを読んで分かった事ですが、この7名はルノワールやピカソなど、フランスを代表する画家をそれぞれ現しているんですね。全員美しすぎて分からなかった。プログラム買ってよかった。
画家達が筆で宙に絵を描くポーズをすると、舞台中央の大階段の様子が・・・おや・・・
大階段に現れる小林幸子
にわかには信じがたいと思いますが、大階段に佇み、スポットライトを一心に浴びた我らが雪組トップスター、彩風咲奈が紅白歌合戦仕様の小林幸子でした。
もう一度書きますが小林幸子です。ラスボス状態です。
これがニコニコ長会議だったらめちゃくちゃ弾幕入ってくるやつ。
大階段から登場するトップスターの相場って大体イケてるスーツかキラキラ衣装じゃないですか。
キラキラがすぎる。頭飾りまで小林幸子。一斉に上がるオペラグラス。ざわつく客席。
そして、しっとりと歌いだすトップスター彩風。
すわ、藤井大介の暴走か?!と不安が過りましたが、なんとなく下に別の衣装着てそうな感じ。
予想が的中し、やはりそれは仕掛け衣装でした。
小林幸子衣装が一瞬で取り払われると、そこには黒燕尾に身を包んだトップスター彩風咲奈!
そして、しっとりボイスから一瞬で爆イケボイスに変わってショーの始まり。いやギャップが凄い。
小林幸子の不安感から爆イケ黒燕尾になるなんて予想だにしないじゃないですか。
藤井大介、天才か。
109期生初舞台お披露目
この流れで109期生がズラリ登場。
そして始まる集大成のラインダンス。曲は「モン・パリ」です。
ミモザの花をイメージしたという黄色の衣装がヒヨコみたいで可愛いです。
最近の初舞台ラインダンスは当たり前のように側転や難しい動きが入っていますね。
なんかシルクドソレイユみたいな動きしてる子もいました。レベルが凄い。
あと初めからお化粧うまい子も増えている気がします。あの不慣れな舞台メイクを観るのもちょっと楽しみだったので、いやはや最近は凄いなと思いました。
ちなみに芸名の流行の移り変わりを見るのも楽しいです。109期生は正統派ながら平仮名率が高いですね。
話逸れましたが、この初舞台生ラインダンス時の手拍子は、本当に応援の意味を込めて自然と劇場全体が一体となるし、彼女たちの笑顔はあの瞬間世界一輝いています。
その他印象的だった場面
- クレオパトラそらぴ
クレオパトラを思わせる衣装のそらぴ(和希そら)と周りをエジプト風の兵士ダンサーが囲みます。
私は大介ショーの男役を無駄に女装させる演出が好きではない(特にガートボニートは最悪でした)が、今回のこのそらぴのクレオパトラ場面はめちゃくちゃ良かったです。
まず、そらぴ得意のキレキレなダンスで魅力が爆発しているし世界観も合っています。
クレオパトラに鞭を振り回させるあの演出は、もうぶっ刺さる人には刺さると思います。格好良かった。
ちなみに、なぜフランスが舞台なのにエジプトなのかというと、フランスのコンコルド広場には、古代エジプト時代の移送されたオベリスク(記念碑)があるからです。その名も「クレオパトラの針」
- ベルサイユのばらの場面
これも素敵でした。まずフェルゼンを思わせる衣装のトップスター彩風。
というかカツラがフェルゼンそのものでした。表情が終始めちゃくちゃセクシー。
周囲のダンサー達の衣装とカツラもマリーアントワネット風だったのが斬新で可愛かったです。
そして曲がロック調で、ロココ調の視覚的雰囲気とのミスマッチ感が逆にとても新鮮で格好良い。まさにフレンチロックミュージカルの一場面の様。
頭上から登場したのは完全にマリーアントワネットオーラ全開な新娘役トップ夢白あや氏。
この公演でトップ娘役としてお披露目ですが、堂々とされていましたね。
というか、これは雪組が「ベルサイユのばら~フェルゼンとマリーアントワネット編」を上演する布石なのでしょうか。
来年はベルばら宝塚歌劇初演50周年を迎えるので、上演がありそうな気がします。
なんやかんや往年のファンからは嫌がられがちなベルサイユのばらですが、私的にはフェルマリ編をやるなら今の雪組が5組の中でピッタリなので、もしやるなら雪組版で観たいなぁと思います。
組長かと思う程にめちゃくちゃ溶け込んでいた美穂圭子さん
1幕のお芝居から引き続きこのショーに参加している専科の美穂圭子さん。
(あれ?組長ダブル就任した?)と錯覚するほどにショーでも大活躍でした。
歌声と凛とした姉御姿が魅力的な美穂さん。登場すると場が引き締まります。
同じく美声のそらぴとのデュエット場面も素敵だったし、退団者場面での優しい歌声は泣けます。
終盤のカゲソロも担当されていていました。
普通、専科さんのショー参加ってそんなに沢山出てこないような印象なのですが、この公演の美穂さんは出番がとても多かったです。貴重な専科さんです。
退団者への餞別場面が素晴らしい
公演の後半ぐらいに今回退団する7名をピックアップした場面があります。
ディーバ美穂さんの歌声に乗せ(歌詞がまた泣ける)退団者7名が踊るのですが、これ退団者の衣装が確か黒色だったんですよね。
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ありがちな退団者の場面って結構みんな白い衣装で「退団しまっせ」感が凄く出ていて、それはそれで美しいし泣けるんですけど、あまり事情を知らない人からしたら置いてけぼりになるというか内輪感があるよね、と若干感じる事もありました。
なので今回のこの「分かる人には分かる」退団者演出は素晴らしかったですし、やはり観劇初心者にも配慮されているのかなと思いました。
まとめ
以上ざっと今回のショーの魅力を書きました。
他に、カンカン場面での衣装が最強に可愛い事や、はばまい(音彩唯)エトワールの浄化される歌声など、まだまだこの公演の魅力は語り尽くせない程です。
とにかく、曲、衣装、世界観と三拍子揃ったこのショーは、宝塚ファンにも初心者さんにも楽しめる内容になっているのでぜひおすすめです。
あっという間の濃厚な55分間の宝塚の世界をぜひお楽しみ下さい。
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