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花組「うたかたの恋」各出演者のみどころ

2023年お正月から開幕した宝塚大劇場公演「うたかたの恋」

途中休演がありましたが、なんとか再開し無事1月30日の千秋楽を迎えられそうでホッとしています。

私は幸運にも休演前と再開後の2度観劇する事ができましたが、休演後の舞台が格段に良くなっているのを感じました。

明らかに演じ方や台詞の言い方などのアプローチを変えたり、メイクが変わっていたり、とにかく初回に観た違和感が払拭されとても観やすいものになっていました。

SNSなどでも以前よりパワーアップしているという感想を多く見たのでやはりそうなのだろうと思います。

この記事では2度観劇したうえでの出演者の感想を書きたいと思います。

番手関係なしで特に印象に残った方を書いています。

※「うたかたの恋」演出変更点についてまとめた記事はこちら

【目次】

ルドルフ(柚香光)

もうビジュアルが100点満点。

ポスターの段階から美しすぎるルドルフでした。やはり柚香さんは金髪が似合いますね。

花組OGの梅咲衣舞さんが「レイ・ハプスブルク」とそのお顔を称えていましたが、まさにその通りで、もう生まれながらの高貴で麗しいお顔立ち。

そういえば柚香さんって反社とか貧乏な役があまりなく元々王族だったりお金持ちの役が多い気がします。笑

初回に観た柚香ルドルフも良かったは良かったのですが、どうしても所々「はいからさんが通る」の伊集院少尉だなぁと思った所があった(特にソファの場面での話し方とか)のですが、2回目休演後ルドルフはそんな少尉の影もなくずっとルドルフでした。

柴田版旧作のルドルフは、マリーには甘々な王子様で、宮廷ではまぁそつなくやってるんだろうなという印象でしたが、小柳版はもう人間不信全開で繊細、本当に心を開いた人としか喋らないんだろうなというルドルフでした。

この辺りの表情や話し方の変化が休演後に観た柚香ルドルフすごく上手でした。

「ハプスブルクに乾杯!」の時のみんな軍歌みたいな新曲をすごい楽しそうに歌っている横で背を向けて座ったルドルフの顔がスンっと一瞬で死にます。一方ミッツィが歌う場面はうっとりリラックスした表情で聴いています。

作品では言及されていないけど史実ではミッツィは本命の愛人で、最初に心中に選んだ相手なんですよね。作中で直接的な絡みはないけど、もしそこまでを表情で描いているならすごく細かいなぁと感心しました。

公園で幕が閉まる前にルドルフとミッツィ良い感じの雰囲気なんですよね。このあと絶対お持ち帰りするでしょみたいな。

休演前は幕が閉まる直前にキスしていたように見えましたが休演後はキスまではいかずの超近距離で寄り添っているように見えました。どっちにしろお持ち帰りしてそうな雰囲気は漂ってましたが。

そして新場面の酒場の場面も以前は鏡に発砲する時に酔っぱらって怒鳴るように発砲していましたが、休演後は「お前は誰だ」をすごく困惑して言っていて全然印象が違いました。

心の衰弱と混乱が伝わり、マリーにすがりついて目にたまった涙が頬を伝うさまがとても可哀相で、これはマリーも心中に引きずり込まれるわと納得の闇深さでした。確かにこのルドルフは幼少期に猫アレしてる感あります。

そして日に日にデレを増していく、かくれんぼの時のアドリブも良いですね。

柚香さんって結構赤面するような仕草や台詞を抵抗なくやってくれるよなぁとつくづく思います。

柚香ルドルフの素晴らしさ、上手さはもうここには書ききれないですが、終演後、初回は購入を検討しなかったブルーレイの購入を即決定するくらい何度も観たくなる程に演技が良かったと書き記しておきます。(ブルーレイはトップスターをずっとアップで映してくれるスターアングルがあるのでオススメ)

あと歌ですが、歌も良かったです。

1回目もプロローグの時だけ(がんばれ…!)と思った箇所が少しあったぐらいで他の曲は安定していました。休演後は全部きちんと歌えていたと思います。

とにかく柚香さんがルドルフのこの公演をこの目で観劇できた事に本当に感謝です。

マリー(星風まどか)

まどかちゃんのマリーは歌も全曲安定していて素晴らしかったです。有村先生の新衣装を何着も着こなしていてとても可愛かったです。

私はまどかちゃんマリーが休演前と後で違いを一番多く感じました。

初回マリーも良かったは良かったのですが、なんかこの場面では幼くてこの場面では急に謎の貫禄が出る、みたいなチグハグな印象を受けてしまってたんですよね。しかも特になんでもない場面で謎に貫禄が出てる、みたいな。

そしてお手紙の場面も休演前に観た時は、はしゃぎ方も歌い方も大げさでちょっとやりすぎで正直アホの子みたいに見えてしまいました。

それが休演後には全部改善されて、お手紙の場面のはしゃぎ方もちょうど良い塩梅。「大丈夫よ、私は」の言い方も気持ち大人っぽくなっていて、休演後のマリーは一貫してやや精神年齢が高めで芯もしっかりしてそうでした。

この一貫している事が大事で、心中にもマリーなりの意志や考えがあっての結果だろうなという説得力が出ました。

そしてお化粧も変わっていました。休演前は結構濃く感じたのです。

少女なのに深紅の口紅だったりプロローグや最後の結婚式の場面はやや厚塗りになってない?と思ってしまったのです。

それが紅はピンクになり、全体的にだいぶ落ち着いていて全場面どのマリーも可憐で可愛らしかったです。前回感じた謎の貫禄ってこのお化粧のせいもあったのかな?と思いました。

色々書いてしまいましたが、まどかちゃんは音楽学校の時から見ているくらい好きなので、マリーになったまどかちゃんを観れて嬉しかったです。

ジャン(水美舞斗)

今回を最後に専科へ異動となってしまうマイティー。

そんなマイティーの為に用意されたのかと思うくらい重要な役でダンスの見せ場もありました。ダンス場面は元々の柴田版でもありましたが、舞台を大きく使って踊るマイティーを観れて感無量。

劇場で、マリーを見て下世話な会話を繰り広げるルドルフ兄妹の会話を聞いて妹マリーヴァレリーにさりげなくシーってやる仕草が紳士で素敵すぎます。マイティジャンはとにかく心優しく紳士的だなぁという印象でした。

宮廷のメンバーから誰一人として愛されず存在を無視されたステファニーに唯一気遣ってあげられる描写は、後のステファニーを止めようとダンスに誘う突拍子もないシーンに説得力が出ていました。

休演前は正直ジャンの台詞が聞き取れなかった所が少しありました。ストーリーテラーとしてはもうちょっと発音よくお願いしたいなぁと思っていたけど休演後は聞き取りやすくなっていました。

あとルドルフが「今回はいつものような遊びじゃないんだ」と公園でマリーへの恋心を打ち明けた時のジャンマイティの笑い声がなんか声が出るオモチャみたいでちょっとびっくりしました。けどそれも休演後は自然な笑い声になっていました。

優しく紳士的なジャンの役はとてもマイティーに合っていたと思います。

次回からマイティーがいない花組なんだなと思うと、とても寂しいです。

フェルディナンド大公(永久輝せあ)

フェルディナンド大公演じるひとこが3番手なので旧作と比べて出番が多めになりました。最後に逮捕しに来るのもフェルディナンドに変更となり、それまでの葛藤も描かれていました。舞踏会でのマリーとルドルフを見守る表情が苦しそうでした。

フェルディナンドの恋人ソフィも新キャストとして追加され、ハプスブルクの船に乗った身分違いのカップルが3組になり物語に厚みが出ました。

ただ出番が増えたといっても脚本の変更には限度があるので正直そこまでフェルディナンドが目立っていた印象はなく、ブラッドフィッシュの方が美味しい役割だったのではないかというのが正直な感想です。これは決して役者が悪いとかの話ではなく、どうしても出番的にこの役は目立ちにくいよなぁと思いました。

ひとこは好きなんですが、今作は正直あまり大きく印象に残っている場面がありません。

ブラットフィッシュ(聖乃あすか)

ブラッドフィッシュは旧作では田舎者で訛りが凄かった役ですが、今作では好青年になっていました。やたらロシェックに敵対して馬鹿にする描写もなくなりそれがとても良い改変でした。カツラがとても似合っていて、爽やかに明るくて頼りになる役も合っていました。

初めブラッドフィッシュが出てきた時一瞬誰か分からなかったのですが、すごく痩せてキラキラみが増した感じがしました。

前まではどうしてもどこか女性っぽさが残るなと思っていたので、完全に素敵な男役になったと感じました。

エヴァ(愛蘭みこ)

ステファニーの侍女エヴァ。今回の個人的MVP。みこちゃんのエヴァはオペラ泥棒でした。

1回目に観た時は気付かなかったけど2回目にふと目に入ったドイツ大使館の舞踏会の場面。楽しげに踊るルドルフとマリーを苦しそうな表情で見つめる正妻ステファニー。

その後ろでそのステファニーの事を(ざまぁw)といった表情で見つめている侍女エヴァ。怖すぎる。

旧作では侍女らしくステファニーの後ろで小さくなって言う事を聞き、ステファニーに気を遣ってそうなエヴァでしたが今作で変貌を遂げました。

もう本当に一人でも多くの方にこのエヴァの演技を見てほしいです。素晴らしいので。女の嫌な所が凝縮された名演技。

苦しそうなステファニーの後ろで笑いをこらえたり、時には吹き出しかけたり。事の成り行きをメシウマ状態でニヤニヤ見守っています。

そして舞踏会を途中退席しようとしたステファニーを呼び止めて(あらあら、どうなさいましたかお席はこちらですよ)と言わんばかりにステファニーを席に戻すんですよね。鬼の所業。

旧作では、ここで一度ステファニーは退席しているので、もうほんと酷い仕打ちです。

ただ、確かに一度退席してまたすぐ戻ってくる旧作の流れはちょっと変だったので、この少しの改変で自然になりました。

舞踏会の場面だけでなく、ステファニーに命令されて見えない所ですごい嫌な顔してた。ただステファニーがマリーに迫ろうとする辺りはハラハラ見守る表情に変わっていてエヴァの人間みを感じましたね。

あとルドルフがこちらを見てる時は勿論意地悪モードは解除で普通の顔になるお局みたいなエヴァ。

もうエヴァの演技から目を離せなくなって舞踏会はマリーとルドルフをよそにずっとエヴァ見てましたね。エヴァ観察おすすめです。とても見ごたえがあります。

ステファニー(春妃うらら)

旧作ではいつもイライラして神経質でプライド高そうなステファニー。

今作は、いやそりゃイライラもするし悲しくなるわと思わず肩入れしそうになるステファニー像でした。たぶん今作のステファニーは政略結婚とはいえルドルフの事が好きだったのではないかと感じました。

序盤でルドルフにダンスを求めにくるステファニーの笑顔。露骨に表情を崩すルドルフ。劇場に遅刻しているルドルフを待っているステファニー。入ってきたのがジャンだと分かるとちょっとがっかりしているし、イライラしつつもルドルフの事が気になっていそうです。

それなのにルドルフは無関心だし義母も義妹も愛人マリーを気に入っているし侍女には内心馬鹿にされているし何これ辛すぎるな。「エリザベート」のシシィ以上に居場所がない。ステファニーが一体何をしたというのか。(悲しい事に史実でも四面楚歌状態)

春妃ステファニーは今までなんとなくヒールっぽい役まわりだったステファニーの新しい人物像を築きあげていました。

最後にマリーに近づこうとする姿は(なぜ私ではなく貴女なの)という声が聞こえてきそうな程に悲しくて、ジャンと踊りながら泣いている姿が本当に可哀相でした。ハプスブルク家からめちゃくちゃ慰謝料貰ってほしい。

エリザベート(華雅りりか)

今までのうたかたエリザベートは結構息子の味方で、特に皇帝フランツとの間に割って入る場面もやや感情に訴えかけるような母親でした。

今作のエリザベートは基本の台詞は同じですが、そこまで感情的になる事がなく、気高く淡々としていてミュージカル「エリザベート」に出てくるエリザベート像に近い気がしました。

高貴ながら「なんという青春の輝き」「ここにいると花はしおれてしまう」という悟り的な台詞は彼女なりの孤独感と諦めと希望が混ざり合った言い方で絶妙でした。声色も気品溢れていて良い。上級生娘役の集大成といった感じで、今回で退団してしまうのが寂しいです。

フランツ(峰果とわ)

1回目の観劇から存在感がありました。98期生で老け役にはまだちょっと幼さが残る顔つきと声の高さですが、表情や姿勢の良さで威厳が出ていました。舞踏会でも微動だにせず。白髪の混じったもみあげといい姿勢の良さといい、北大路欣也さんみたいだなと思って終始見ていました。執務室が一瞬半沢直樹の頭取の部屋に見えました。

執務室でのルドルフとの言い争いはやはり休演後の方が迫力が出ていて、とにかく失望と飽きれと恥ずかしさで怒り心頭具合が増していました。もう諦めたのか後半はルドルフを見ようともしない感じが怖かったです。とても良かった。

ロシェック(航琉ひびき)

旧作のロシェックの客席いじり等がなくなっていたけど、それでもとても目立つ役どころでした。ロシェックも休演前と少しだけ変わっていました。

休演前は、エリザベートを通そうとしないロシェックが結構頑張ってガードしようとしていて客席から少し笑いが出る程だったのですが、休演後は結構早めに笑いが起こる前にガードを諦めていました。なんというか休演後はコメディ要素を薄めて影に徹しているような気がしました。ここも毎回アドリブで違うんでしょうか?確認したいです。

最後にマイヤーリンクでワインを飲むロシェックが、緑茶をすする老人のようで可愛いのでぜひ見てほしいです。

カゲソロ(龍季澪・花海凛)

雪のマイヤーリンク、ルドルフとマリーの天国での場面で流れるカゲソロも素晴らしすぎました。特に花海さんはまだ108期研1という若さに驚きです。

龍季くんの歌声もとても良かったのですが、柚香ルドルフは声が低く龍希くんは少し高めに聴こえたのでもう少し低くても良いかなと感じました。個人的にあのカゲソロはマリーとルドルフ二人の声だと思っているので同じトーンであってほしい。

でもどちらのカゲソロも伸びやかで美しく、物語のラストシーンに染み入る歌声でした。

まとめ

ここには書ききれないくらい花組生全員の熱量が凄く、とても見ごたえのある作品に仕上がっています。

休演を挟んで進化しているというのが、みんなお休みで不安な中ひとりひとり見直したんだろうなという事が伝わってきて、そういった点でも感動しました。

ルドルフ、マリーの主役級キャストはもちろん、脇役に至るまで一人一人の人格がしっかりと存在し、ベースは柴田先生の脚本でほとんど台詞は変わっていないのに、表情ひとつでこんなにも一人一人の背景や心情が浮かび上がってくるのだと実感しました。

また、新公学年でも目立つ役どころに配役されている人が多いなとも思います。

役が少ない事が懸念されていた「うたかたの恋」ですが、下級生に至るまで見せ場はありました。

劇場、公園、舞踏会、酒場など下級生含めてガヤ芝居が毎日変わり、アドリブも毎日変わって目が足りないしチケットが足りない。できれば毎公演全部見たい、そう思わせる花組小柳版「うたかたの恋」みなさん本当に全員素晴らしかったです。

以上、観劇の際のお役に立てば嬉しいです。

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