前回、再始動する宙組の体制について、そして劇団の対応について、やや批判的な事を書きました。
宙組再開について喜びの声が聞かれる中で、こういった批判的な意見を述べるのは心苦しくもありましたが、長文にも関わらず最後まで読んでいただき、賛同して下さった方々がいた事は、とても心強かったです。
今日は、幕が上がった宙組公演初日に関して、SNSやニュース記事、ブログでのレポートを幾つも読み、感じた事について書こうと思います。
引き続き、宙組公演について心から喜んでいる方や、応援しようと思っている方など、読んでも良い気持ちにはならないと思うので、読み進めない方がいいかなと思います。
お互い別々の道を行きましょう。
あくまでも個人の意見です。ご了承下さい。
そして、実際に現地で観ていないのに、伝聞だけであれこれ言う資格はないとも思います。
しかし、実際今回の宙組公演のチケットを取る気持ちにはどうしてもなれなかったので、その点についてもご了承下さい。
違和感ある挨拶
注目されていた初日の挨拶。
開演前に劇団理事長が挨拶、そして終演後には組長とトップスターによる挨拶があったとの事。
理事長の挨拶
「宙組公演につきましては、公演の中止や演目変更等、お客さまに大変ご心配とご迷惑をおかけしましたこと、改めて深くおわび申し上げます」と、上演停止が続いたことについて謝罪。
だが、その後「今後も引き続き誠心誠意つとめてまいりますので、変わらぬご支援のほどよろしくお願い申し上げます」と続け、団員急死については触れず、追悼の言葉はなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/25403f351321310136e9c23157a3cdbf9840cc8b
その後は、
「本公演は、宝塚歌劇の歴史と、そして先人へのオマージュを込めた華麗なるレビュー作品でございますので、どうぞご覧ください。改めてのお礼となりますが、本日はご来場いただきまして、誠にありがとうございます」
と、公演内容の説明があったとの事でした。
宙組組長の挨拶
終演後、松風輝組長が「公演の中止や演目変更など、心よりおわびいたします」とあいさつ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/059647969f40e3043434cff83566099a2c0132ec
他の現地で観た人によると、この一文の後に理事長と同じく、今回の公演内容を説明していたとの事でした。
トップスター挨拶
「お客さまにご心配をお掛けしました」と話し「長きに渡りご心配をお掛けいたしました。宙組公演を待ち続けて頂きありがとうございました」などと感謝すると大きな拍手がわき起こったという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/968726989c0cc6061a720b252d55639decf842f0
その後カーテンコールが3度あるも、「本日は本当にありがとうございました」だけに留めたとの事。
いや、あの、コロナとかで長らく休演していた訳ではないでしょう。
観客やファンに向けるべき言葉は、演目変更や公演中止で迷惑をかけた事だけではないと思います。
一番起きてはいけない事が起こってしまった事、これから劇団として、組としてどう向き合っていくのか、そういった内容なのではないのでしょうか。
哀悼の意もなく
誰一人としてその事に触れず、追悼の言葉すらなかった事に驚きを隠せませんでした。
体制が変わらずの再始動、全国ツアー…そしてこの挨拶で、まるで何事も無かったかのように、強行に進んでいくんだなという印象が、より強まりました。
まるでそんな劇団員が存在しなかったような。あんな悲しい出来事が無かったかのような。
なにも献花台を用意するべきとか、舞台上で黙とうの時間、ショーの中にそういった演出を設けてほしいとは、私は全く思っていません。
そうなると、もはやパフォーマンスや自己満足になってしまい、これも一種のエンタメとして消費されてしまいそうだからです。
毎公演その事に触れるべきとも思わないし、だからこそ初日挨拶に何かしら、誰かしらが一言でも哀悼の意を示せなかったのかなと思いました。
千秋楽だと、批判を受けて言ったのかな、という印象になるので、やはり初日が大事だったと思います。
生徒ではなく劇団が悪い、というのであれば、理事長だけでも触れるべきだったと思います。
でもやはり、組を纏める組長や、組の頂点であるトップスターが何も触れないのも、やはりどうなのか、と私は思います。
何の表明や説明もなく、何事も無かったかのように、スカステの稽古場情報やキャストボイスを発信するから、触れられない、語れない、このような挨拶になったんだろうと思います。
「出演者への負担が重い」とし、恒例の初日前トップスターへの囲み取材も無かったとの事。
これらについては、生徒だけの判断で進んでいった訳ではないだろうから、生徒だけを責められないとは思いますが。
やっぱり何事も無かったかのようにスルーして進んでいくんですね、という印象は拭えなかったです。
フォーエバータカラヅカの違和感
ショーの構成、内容については、歴史ある宝塚の名曲、名場面をノンストップのショーで駆け抜けるものなので、やはり見応えがあり、絶賛の感想が多いように思います。
久しぶりに舞台に立つ贔屓を観て、安心したファンも多いと思うし、感極まって泣いてしまうのも分かります。
大きな拍手を送るのもそうです。
それに関しては、ファンそれぞれなので何も思いません。
感動する人はするだろうし、観たかっただろうし。
自分自身も、感想を目にし、3番手羽根を背負えて良かったなとか、下級生も活躍できてそうだなと嬉しく思う事もありました。
みんな怪我無く無事に千秋楽を迎えてほしいという気持ちもあります。
ただ、パレードの階段降りについて思う事があったり(詳細には書きませんが)、一番引っかかったのは、パレード後に流れる楽曲に、以下の三曲を採用したのはどうなのかと思いました。
♪おお宝塚/♪タカラジェンヌに栄光あれ/♪TAKARAZUKA FOREVER
宝塚ファンなら歌詞を見ずとも歌詞が思い浮かんでくる程に何度も聴いた名曲たち。
だからこそ、この舞台でこの選曲は違うくない?と違和感がありました。
こればかりは、生徒に責任はなく、演出家と、それを通した劇団がどうかと思います。
あれだけ世間に糾弾されるような事があって、退団を選ばざるを得なかった遺族生徒がいて、何が「フォーエバータカラヅカ」何が「栄光あれ」なんだろうって思いました。
歌詞を見れば見る程、この公演にはそぐわないというか、グロテスクだなと感じました。
観客の反応
初日のカーテンコール後に、観客がスタンディングオベーションしていた事は、まぁ初日の客席は、宙組の再開を心待ちにしていた人が殆どだろうし、そうだろうなと思いました。否定しません。
「お帰りなさい」「何があってもついていきます」
まぁ、そうだろうなと思います。
ただ厳しい言い方をすると、それが全ファンの総意とは思ってほしくないなと正直思いました。
劇団からも、世間一般からも。
絶賛が多い中で、観劇したファンの中でも、見届ける覚悟をしたファンでも、終演後モヤモヤしたり、途中で帰りたくなったという感想も目にしました。
それだけ信じる気持ちと実際の差が大きかったのかなと思います。
ファン歴60年という80代の女性は「劇団員の死を軽く見てはいけない。誰かが責任を取るべきでは?」と憤りを隠せなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d336dda43dd37e5721d1132d0eb37e5ee74beb20
ファン歴60年、色々と見てきたであろうファンの言葉が重いです。
「清く正しく美しく」とは何なのか。
昨日に引き続き、ここまで辛辣な感想が思い浮かんだのは、宝塚が好きだからこそです。
このまま「合意が終わったから」と、何事もなく、そのうち世間は忘れるだろうモードのままでいてほしくなかったです。まぁ、そうなりそうですが。
ずっと触れずにいましたが、こうなれば、やはり96期事件の頃と何も変わっていないじゃないか、と。
そしてあの頃に比べ、SNSが発達し、エンタメの選択肢が増え、テレビへの露出も激減した劇団は、あの頃の100周年バブルでの新たなファンや受験生の爆発的な獲得は難しく、フォーエバーとはいかなくなるのでは、とさえ思ってしまいます。
そう考えてしまう状況、とても残念です。
私は観たい公演がある限り、観に行きますし、楽しみにしている公演もあります。
まぁそれもいつまで続くか分かりませんが。
それが今の宙組には無いというだけの事なのです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。